クールプリンスはあたしの旦那



「今日はお越しいただきありがとうございます。僕たちの結婚報告をみなさまにするために今日は集まっていただきました」


そう言ってにっこり笑う。


さっきとは違う、作り笑顔で。


「僕たちは大学が同じで僕の一目惚れから始まりました。僕は妻が…藍佳がほしくてアタックし、付き合い始めました。それからは毎日が充実していて」


よく、こんな嘘をペラペラと言えるな、と思った。


何も知らない人が聞いたら信じるだろう。


「僕は結婚したからと言って仕事を怠ることはありません。そのことをみなさんに誓います」


2人でお辞儀をすると、会場から拍手が起きた。


なんてことなんだろう。


「嘘つきなのに」


こんなにも信頼を寄せてくれる。


「いつも話してもくれないのに」


一目惚れ、なんて言っている。



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