虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
【 春の草 五色までは 覚えけり 】
【 梅の花 咲るしだけに さいてちる 】
・・・哀れみをこめた目で、土方を見る。
まさか、わたしがこれを読んだと知らない土方は、まだ議論を続けている。
見なかったことにしよう・・・
わたしは、それを書類の山の中に押し込んだ。
「お前、何してんだ?」
「いえ、別に何も」
いつの間にか議論は終わっていたよう。
いきなりかけられた声に、少しびっくりしながら、何もなかったかのように接する。