わらって、すきっていって。



やっと終わった。わたしの戦争が。受験という名の、たぶん人生最大の戦争。

やりきった。これまでもこれからも、大学受験以上になにかをがんばることって、きっとないと思う。燃え尽きた。

センター試験の自己採点ではB判定までもってこれた。でも二次試験はすごく難しかった。受かっているかは正直分からない。


合否は分からないまま、3月1日。二次試験のたった2日後に、卒業の日はやってきた。



「――あんこっ。写真撮ろうぜー!」


うしろからがばっと肩を抱かれる。その犯人は、振り返らなくても、もう分かる。

声の先では、雲ひとつない青空を背にした幼なじみが満面の笑みを浮かべていて、わたしもつられて笑った。


「ちーくん! うわあ、ちーくんがちゃんと制服のジャケット着てる!」

「そりゃな、卒業式くらいはな。ビシッとキメてーじゃん?」


ふふん、と得意げにポーズをキメてはくれるけれど、ちーくんにあまり着てもらえなかったジャケットは、まるで新入生のものみたいにぱりぱりで。

なんだかやっぱり似合わないなあ。そんなこと言ったら怒られてしまいそうだけれど。でも、ちーくんには、校則違反のパーカーのほうがしっくりくる。


「……あれ? ネクタイは?」

「え、知りたい? マジで? 知りたい?」

「ええ、まさか……」

「5組の山田さんにくださいって言われちゃいました!」


サッカー部で活躍していたちーくん。小動物みたいにかわいい顔をしているし、明るくて優しいから、彼がそれなりに人気があることは知っていた。

なんで彼女つくらないんだろうって思っていたけど、ついにちーくんにも春が。

いや、ダメだ。早とちりはよくないって、こないだえっちゃんから学んだばかりなんだった。
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