わらって、すきっていって。
えっちゃんに本城くんへの気持ちを打ち明けたこと、やっぱり正解だったかもしれない。正確にはバレたんだけど。
でも、そっか。本城くんも緊張していたんだ。
そういえば連絡先を交換するとき、バカみたいに一緒に真っ赤になっていたっけ。きっと変に女慣れしていないんだ。そんなところも素敵だな。
もう重症だ。だって、本城くんのすべてを素敵だって思う。
たとえば、もし彼がとても女慣れしていたとしても、すごくいじわるなひとだったとしても、わたしはたぶん、やっぱり素敵だと思っていた。
恋は盲目なんて、本当によく言ったものだと思う。その通りです。
恥ずかしいくらい、わたしはもうすっかり本城くんに盲目だ。
「あーあ。返事……こないなあ」
そうつぶやいたのとほぼ同時。手のひらのスマホが震えたから、今度こそベッドに正座してしまった。
『こちらこそ。突然帰ったからびっくりした。大丈夫だった?』
本城くんだ! 返事がきた!
嘘じゃない。思わず3回ページを開き直して確認してしまった。でもやっぱり、本城くんだった。嘘じゃない。
なんだか、文面から彼のさわやかな低音の声が聞こえてくるみたい。心配してくれているのがうれしい。優しいひとなんだ。
『大丈夫だよ。突然帰っちゃってごめんね。』
『気にしなくていいよ。今度はもっと時間のあるときにしよう。』
「こ、今度……!?」
今度って、なんだろう? ドーナツ食べに行こうってことかな? なにか、また今度が……あるのかな?
『じゃあおやすみ。また明日。』
頭が整理できないうちに、もう一通きた。
それはただの文面。ただの文字の羅列。
でも、画面の向こうに本城くんがいるって思うだけで、どうしようもなくむずむずする。
『おやすみなさい。』
ねえ、今夜は眠れそうにないよ、本城くん。あした、ちゃんと目を見ておはようって言えるかな。