ハンドパワー
このままだと何が起こるかわからない。
今だったら取り返しがつく。
向こうから家に入ろうとしている。
相手がドアを開け、靴を脱ごうとした瞬間、私は逃げるしかない。
ガチャ
あと一歩歩けば、この人は靴を脱ぐ。
コツ…
今だ!!
「入れよ」
「ん゛っ!」
ドアを思いっきり閉めて、私は逃げた。
精一杯走った。
しかし夏休み、ろくに運動もしてなかったから、速く走れない。
それに比べて北郷勇人は速い。
もう少しで追い付かれそう。
私は無我夢中に走った。