ハンドパワー

しかし渡辺貴雄は、喋り出さない。


―――その時。

北郷勇人がやって来た。


「ずいぶん荒れてるな」

少し口角をあげて私に言った。

しかし私は勇人の言うことに耳を傾けない。


「実は春くんの両親を死に至らしめたのも、貴雄なんだ」

!!

顔を下げていた私は、渡辺さんの言葉を聞いて瞬時に顔を上げた。


「どういうことなんですか?

俺の両親は交通事故で… じゃないんですか?」
< 545 / 576 >

この作品をシェア

pagetop