《俺様的》彼女の手なずけ方
なんだろう、これ…。




英語で書いてあって、よくわからない。




「ナルの婚約パーティの招待状よ。ぜひ、篠原さんにも出席していただきたいの」




なっ…。




「どうしてあたしが!」




清香さんは、一体なにを考えているの?




「ナルのことをなんとも思っていないなら…堂々と、出席できるはずよ」




「思ってないです。それに、あたしが行っても場にふさわしくないし、着ていくドレスも持ってません」




「それには及ばないわ。私のドレスを貸してあげる。明日、あなたの家に使いをよこすから、途中で合流して一緒に出席しましょうよ」




まったく、わけがわからない。




「お断りします」




「あなたに、断る権利はないの。あたしやナルとは別次元の存在だということを、しっかりと見届けなさい。2度と生意気な口を聞けないようにね」




やっぱり…清香さんは、謝る気なんてない。




これはあたしへ向けられた、挑戦状だ。




最大級の嫌がらせのつもりだろうけど…あたしは、逃げないって決めたんだった。




清香さんをニラみつけるのは簡単だ。




だけどそれをすれば、相手を喜ばせるだけの気がする。




小さく息を吸い、余裕たっぷりに微笑んでみせた。




「わかりました…明日、直接会場でお会いしましょう」




ドレスなんて持ってない。




恥ずかしいと言われようが、あたしは自分流でいくしかない。




「そんなこと言って、逃げる気?」




「まさか。あたしは、逃げも隠れもしません。しっかり、この目でナルの婚約を見届けます。

清香さんこそ、それこそ平気なんですか?ナルが婚約するなんてショックですよね。最近眠れてます?クマができてますよ」




「なっ…」




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