《俺様的》彼女の手なずけ方
「あ、あのっ。なにか失礼なことを…」



言ってしまったのかと、思った。



けれどそうではないみたい。



涙を拭うと、メイドさんはにっこりと微笑んだ。



「天音様は天真爛漫な性格ゆえ、幼少の頃からいつも周りから浮いてしまっていたのです。

なかなかお友達ができず、寂しそうでした。葵様のように素敵なご学友が現れ、嬉しゅうございます」



「あたしも、天音ちゃんと出会えてよかったです」



「そうですか…葵様が転校してきてからは、それはもう毎日楽しそうに葵様のお話を。色々助けて下さっているとか」



「そんな。あたしの方が、天音ちゃんに助けてもらってます!山猿なんて呼ばれて、セレブ学園で浮いてしまってたので…」



「まぁ…さようでございますか。

前の奥様のお若い時からお仕えしているのですが、その頃を思い出しますね…」



前の奥様?



もしかして、天音ちゃんの今のお母さんは新しいお母さんということ?



そしてこの人は、天音ちゃんのお母さんの時代から仕えてるんだね。



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