お嬢様になりました。
「わかんないよ……あんたが何言ってるのか……。 それに、私たちの間に利害関係なんて成立しない」

「お前は俺と結婚すれば宝生院グループは更に大きくなる。 俺はあんなつまんねぇ女よりも、お前みたいな物怖じしねぇ女と一緒に居た方が、多少はマシな生活を送れる。 これで俺たちの利害は一致する」



どうしてそんな考えで結婚相手を考えられるのか、私にはどうしても分からなかった。


利害関係って何?


結婚するのにそんなのって必要なの?



「俺にとって結婚なんてもんはその程度だ。 愛だの恋だの関係ない。 グループにとってどれだけの利益があるのか、俺にとってどれだけ退屈しない時間になるのかだ」



何、その理由……。


そんなの自分勝手過ぎでしょ!?



「確かに私にとってもそういう利はあるのかもしれないけど、私はあんたと婚約して結婚しなくたって、害は……」

「あるだろ」



ッッ!?


お腹に回された腕がほどかれ、私は強制的に海堂と向かい合う様に腕を引かれた。


ドアの冷んやりとした感触が背中を伝う。


真剣な目で私を見下ろす海堂。



「宝生院会長には会社を継がせられる血縁者がいない。 それともお前が継ぐ気か?」

「そ、れは……」



何も答えられなかった。


だってそんな事考えもしなかったから。



「俺が宝生院グループもまとめて面倒みてやる」





< 107 / 360 >

この作品をシェア

pagetop