お嬢様になりました。
私は真っ直ぐ家には向かわず、あるスウィーツカフェの前で車を降りた。



「葵お嬢様、お帰りになる際にはご連絡下さい。 お迎えに参りますので」

「分かりました」



荒木さんは後部座席のドアを閉めると、助手席に乗り込んだ。


視線を感じ周りを見ると、周りの人たちが通り過ぎる時にこっちをチラチラ見ていた。


私は逃げる様にスウィーツカフェに駆け込んだ。


リムジンで送り迎えなんて普通じゃないよね。


今まではそう思ってたのに、そう思ってた事なんてスッカリ忘れてた。


慣れって怖い!!



「葵っ!!」

「華っ!!竜樹っ!!」」



先に来て居た二人の元に駆け寄り、私も椅子に腰掛けた。


久しぶりに会った二人は何処も変わってなかった。


転校してそんなに経ってないから当たり前だけど、二人の顔を見てホッとした。



「お前何だよあのリムジン……」

「あはは……」



何だよって言われたって私だってわかんないよ。


とりあえず笑うしかなかった。



「その制服とっても似合ってるっ」

「本当に? ありがとうっ」

「馬子にも衣装だな」

「うっさい」



このやり取りを凄く懐かしく感じた。





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