しいと星屑


雪乃ちゃんは私の視線に気付いて
ふと振り返った

「あっ千文ちゃん!」


「…メイク、するの?」

私は左手で彼女の雑誌を指した

頑張って顔に笑みを作ってみた

少しぎこちないなって、自分でも思うよ


「うん、やってみようかなあって!」




負けた。


雪乃ちゃんの圧勝ってところだね。



雪乃ちゃんは、綺麗に磨かれた爪を
光らせながら雑誌のページをめくった



そのページに写るモデルさんの顔が
だんだんと雪乃ちゃんに見えてきた


雪乃ちゃんの笑顔とこのメイクで


彼女を好きにならない男なんて


いるのでしょうか





神様はひどいや

残酷だ

人間を不平等に造り上げて


人を容易に幸せにさせようとは
してくれない




だんだんと、喉元が窮屈になって

目頭が熱くなって

吐き出したい「言葉」が

積もって積もって、


でも出ずに

その代わりに

私の目から熱い液体がこぼれ落ちてきた



私は笑った


満面の笑みで笑った


それが私の精一杯の笑顔だって

思ったりもした



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