殺し屋天使
そこまで来て、少年の脳裏にある確信めいたものが一つだけ浮かんだ。
「聞いてええか。」
「なんなりと。」
「アンタ……メフィストちゃうか?」
「ああ…久しぶりに聞いたね、その呼び名。」
クスリと男は笑声を洩らした。
「いかにも私がかつてメフィストと呼ばれていた者だ。」
メフィスト。
それは魔窟の魔女に並ぶ異名。
医者であり科学者。
その腕前は神業。
なれど―――
「教えてくれ。アンタにとって医療とはなんや。」
「医療―――ねぇ。逆に問おうじゃないか。君にとっての医療とは?」
言われて少年は詰まった。
「…分からへん。」