殺し屋天使


その後少年は至と出会い、片割れの姉に言ったらば

『居場所は教えないで欲しい。』

と懇願された。



黙っていたのは殺しかけた罪悪感から…というより、単純にその時の片割れの真剣さに押されたからだ。


同じく、片割れの身を案じ探す至の心情も分からぬでもなかったのだが…。


だが今日―――ココに来て事実の断片を垣間見た気がする。



姉を探す弟。

身を晦ました姉。

是非もなく姉を傷つける存在の弟。

是非もなく弟に傷つけられる存在の姉。



―――そして



弟を殺してやりたいほど憎んでいる男の存在。

だがしかし男は弟を殺せないでいる。

原因は間違いなく、その姉の存在。





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