殺し屋天使


胡乱な瞳を頑なに真っすぐ見続けていた少年は、吐息と共に怒らせていた肩から力を抜いた。



「……出しぬけねぇヤっちゃな。」


「歳の功ってヤツ…?」



嘯く彼に少年はチッと舌打ちした。





「ああ…“片割れ”は生きてる。魔女ンとこだ。」







くそったれが…



そう思って用水路に投げ込んだ。


だけど、結局引き摺りあげた。



いっそシネ、という気持ちは変わらなかったが、それを自分が与えるのは違う気がしたのだ。







天命はあくまで神が与えるモノ。






それをネジ曲げて自ら死期を早める輩がいたとしても、第三者である自分が介入する問題ではない。





既に虫の息だったのを用水路に投げ込んだ時点で、女が助かるかどうかは紙一重だったが、そこは魔窟の魔女の腕の見せ所。


なんとか一命は取り留めた。

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