殺し屋天使
次の攻撃
―――は、止めた。
やっても躱される。
もはや防御も無意味。
退くのも同じ事。
彼がその気であれば退いたところで捉われる。
たった僅かの動作でその力差を知った。
全面降伏。
力を抜いた少年に対し攻撃はなく、動かぬ少年に代わり彼が一歩距離を開けた。
「君、何者?刺客ってワケじゃなさそうな。」
それは確信。
こんな土地柄、仕事柄それなりの『喧嘩』は出来ようが、少年の動きはプロのそれではない。
だがナイフを操る腕に淀みなく。
そのミスマッチさがちょっとした興味を唆した。