殺し屋天使
外のネオンが差しこむだけの薄暗くかびくさい部屋。
対峙する相手を前に男は些か呆気に取られていた。
男はこの界隈では屈指のマフィア組織の幹部であった。
周囲には万が一を考え、凶悪で粗悪と呼ばれる傭兵染みた護衛を十人ほど従えていた。
対するのはこの界隈でトップクラスに名を連ねる殺し屋で。
一応、その組織と契約を交わすいわば飼い犬であるが、その男が謁見するのはハジメテであった。
どんな凶暴な魔獣が出てくるかと思いきや
―――少年。
推定年齢17、8歳。
寝起きなのかと突っ込みたくなる顔は茫として、まるで覇気に乏しい。
胡乱ではあるが、ジャンキーとはまた別物で、言うなれば寝起き。
寝癖ついてるし。