殺し屋天使







外のネオンが差しこむだけの薄暗くかびくさい部屋。


対峙する相手を前に男は些か呆気に取られていた。


男はこの界隈では屈指のマフィア組織の幹部であった。


周囲には万が一を考え、凶悪で粗悪と呼ばれる傭兵染みた護衛を十人ほど従えていた。


対するのはこの界隈でトップクラスに名を連ねる殺し屋で。


一応、その組織と契約を交わすいわば飼い犬であるが、その男が謁見するのはハジメテであった。






どんな凶暴な魔獣が出てくるかと思いきや


―――少年。




推定年齢17、8歳。


寝起きなのかと突っ込みたくなる顔は茫として、まるで覇気に乏しい。


胡乱ではあるが、ジャンキーとはまた別物で、言うなれば寝起き。


寝癖ついてるし。


< 7 / 116 >

この作品をシェア

pagetop