書架の森で

 それから間もなくして、あてつけのように、彼は女子と付きあい始めた。

デートの場所は中央図書館。二階の窓に面した机。コクトーの本棚のすぐ側だ。
彼は何度も彼女を変えたけどデート場所は変えなかった。

まるで、呼ばれているような気がしていた。

それでもあたしは大学生になって、自然消滅するまで、彼氏と付きあいきった。意地になっていた。

 孝雄と初めてここへ来た時、気まぐれにその席を見てみて、驚いた。

まさかいるとは思わなかった……。

 それからは毎週、こうして彼を覗き見るのが楽しみになってしまっている。
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