先生、スキ
「おい、変態ジジイ。
痴漢なんかやって楽しいか?」
ドス黒い、低い声が響いた。
先生だ、あの時とは顔が違う。
子犬のような瞳はどこへ行った?
そして彼は変態親父の腕をグッと握り
私から離す。
「斎藤大丈夫かっ?!」
「大丈夫ですけど」
あのオヤジはドアが開いたと思うと
急いで逃げて行った。
変態親父の背中はどんどんと遠くなった。
「なんで言わないんだ?」
先生の顔は少し怒っていた。
そして心配もしていたような気がする。
「あ、私ここの駅で降りますから」
××駅まであと15分もあるけど
もう、ここで降りよう。