先生、スキ



“奥さん”という言葉に
少し胸が痛い。


「頑張るね、明日」


私がそう言って笑った時
里枝は突然真剣な顔になった。


真ん丸な瞳が
少し鋭くなる。


そしてやわらかい瞳に変わった。

「ほんと、梨菜って
先生に恋して変わったよね
雰囲気がふんわりして優しいね。
いつもトゲトゲしてたのに」



彼女は向日葵のような笑顔を見せた。


「トゲトゲは余計~。
ねえ、里枝?」



ずっと聞きたかったこと。


「なに?」


里枝ならきっと私が期待する答えを言うはずなんだ。
言うって分かってて聞いてしまう私がいた。


「私ね、今綺麗に笑えてる?」


そしてやわらかく微笑んだ。
自然に出た笑みだった。


「うん、笑えてる。」


そう言って彼女も優しく微笑んだ。




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