先生、スキ
「じゃあ、俺もそろそろ帰るね」
そう言って時計を見た尚人は
少し微笑んだ。
奥さんのところへ、帰るのかな?
苦しいよ?切ないよ。
もっと一緒に居たいよ。
まだ5時だよ?
たったの2時間しか一緒にいなかったじゃん。
ねえ、行かないでよ。
欲はどんどんと沸いてくる。
切ないくらい、悲しいくらい。
「・・・っ・・・ないで」
私は尚人の手首をギュッと握った。
「えっ・・・?」
「行かないで・・・っ!!」
尚人の顔が見れない。
私は俯いたままだった。