先生、スキ



私の甘い声は
よく響いた。


声をあげるたび
彼は私を愛おしそうに見つめる。


「どんな梨菜も可愛い」


そういうと
必ず私の唇を塞ぐのだ。


深く、甘く、ゆっくりと。



こんな愛の形間違ってる。
って思うかもしれない。


けど私達は
こんな形でしか出会うことができなかったんだ。


もし彼が出会ったのが奥さんじゃなくて
私だったら?


こんなにつらい思いはしないで良かったのかな?


「んっ、ああっ・・・私も、・・・ハア・・ハア、尚人が・・、好き」



そして私も彼の唇を塞ぐのだ。



愛の形はさまざまにある。


こんな形でも
尚人も私も愛しあっている。


ここに“愛”なんて存在しないよって言われれば終わりかもしれない。



けど、存在していると信じたい私達がいる。




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