ビターチョコレートに口づけを
それをよしよし、と見守って、次はあんたの番だ、と兄の背中を押した。
人の時はさんざんいってた癖に、自分の番が回って来た途端、あーとかうーとか繰り返して、急におとなしくなった兄を一喝して、なんとか挨拶をさせた。
全く、だから男って嫌だ。
雪もクスクスと笑っている。
「~~っもういいだろ!
勘弁してくれ。
改めて言うのって恥ずすぎる。死にたい。」
そう言った兄の顔は真っ赤で普段の鬼畜さからは想像も出来ない。
それに二人揃って笑ってやると、何故か私だけを殴って、たまたま式場に呼ばれていたらしい友人の所に逃げてった。
殴られた額を擦ってとりあえず思うのは……
パパにチクってやる。
「あーあ、行っちゃった。
あんのアホ兄ちゃんめ。
雪も戻っていいよ?
花嫁がいつまでも旦那さんから離れるのも悪いし…」
「へ?
あ、うん、ありがとう。
もうすぐブーケトスだからさ、絶対に受け取ってね。」
「…うん!」