ビターチョコレートに口づけを
そう笑い合った後、手をふりながら雪は旦那さんの元へと帰っていった。
ふわふわと揺れるウエディングドレスは綺麗で、だけどそのまま、どこかに飛んでいっちゃいそうで、少しだけ怖かった。
「和装がいいかもなぁ……」
まだ見ぬ相手との自分の結婚式を思って呟いた。
言ってみてからなんだかおかしくなって、笑えてきた。
私はまだ高校生で、しかも彼氏もいないというのに、どうやって結婚する見込みがあると思えるのか。
無理だね、しばらくどころか一生無理のような気もするよ、これ。
まあ、でも、そうだな。
もし今、結婚するとしたら―――え?
え?
何今の?
え?嘘。そんなはずないじゃんか。
なんで今よぎったのが。
よりにもよって。
赤くなってきた頬を押さえて、雪と話してこい、と私の背中を押してくれた彼の姿をさがす。
だけど、見つからなくて、キョロキョロと少し探し回る。
途端、後ろから歓声が湧いた。
なんだろう、と振り返ってみると、沢山の人々に囲まれた二人が、結婚指輪が光る指を絡めて、お互いを見つめて、愛しそうに幸せそうに笑ってた。