恋
「あ、夏木」
「!」
浩介くんの口から出た名前に、心臓が飛び出しそうになった。
恐る恐る教室の入り口を見ると、夏木くんがCDケースを持って立っていた。
「これ返そうと思って探してた。サンキュな。……こんちは」
「こんにちは」
私に向かって、軽く挨拶する。
至って普通だ。友達の彼女に対する態度としては至極当たり前のもの。
なのにどうして私はこんなに悲しくなるのだろう。
CDを渡し立ち去ろうとした彼は、私たちが一列に並んで座っていることを不思議そうに見ていた。
「何やってんだ?」
「ほら、この間の飲み会で盛り上がったゲーム」
浩介くんは呑気に返答する。
私の動揺なんて全く気づいていないのだろう。
「ああ。女子が喜んでやってたな」
「女の子とやったの?」
思わず大きな声が出てしまった。
だって。こんなことを他の女の子としてたの?
夏木くんも?