thermos flask

「おはよう、千鶴。どうした?」
 
 

「あっ、えっと。おはよう、さゆき!!」


 胸の前でぎゅっと握っていた右手を、彼女はとっさに背中にかくして、ぎこちなく笑っていた。

 千鶴は嘘や隠し事をするのがすごく苦手だ。何かあったんだ。話しかけようとする私より先に、彼女はあたふたと部室を出て行った。
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