ドメスティック・エマージェンシー
最初からこうなるように仕向けられていた――以前、私が思い付いたことをぼんやりと思い出し、空を見上げた。

つまり、有馬の推薦を無しにし、私たち家族が崩壊するように仕向けられていたということだ。
失敗して腕に致命傷を与えたのじゃない、あえて有馬を殺さなかったのだ。

有馬を生かす理由……双子を聞き出すための手がかりと、私を引き寄せるために……

これはあくまでも推測だ。
そして推測の中にいる犯人は他でもない、ゼロ。

だからといって憎んではいなかった。
むしろ感謝している。
もともと歪んだ家族関係だったのだ、小突けば壊れるのは当然と言えたし、だからこそ私は両親から離れることが出来たのだ。

そこまで考えた刹那、肩に重みが加わった。







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