ドメスティック・エマージェンシー
年配の彼は熊森と名乗った。
もう一人は糸部。

簡単な自己紹介を済ませ、本題に入る。

「あなたと弟さんはホテルで両親を待っていたとか。その時の状況を事細かく教えて頂けませんか」

コクリと頷き口を開く。
有馬とは特に話をせず、各々自由に行動していたこと。
飽きた頃、タイミング良く扉が開き気がつくと有馬が刺されていたこと。

決して流暢ではなく、噛みながら話し終えると口の中はすっかりカラカラに乾いていた。

「なるほど。犯人に特徴とかはありませんでしたか」

「さあ……。私も動揺していたので……」

当たり障りな事を口にして、安堵した。

何だ、言えるじゃないか。

しかし安心するのも束の間、熊森が体を乗り込んで瞳をギロリと光らせた。

「では、弟さんが気絶されたときあなたはどうしていましたか?」

語気の強い言葉に一瞬うろたえてしまう。
私を観察する目が四つもある。

息を止め、吐き出すように口にした。

「隠れていました」

まあ、そうでしょうな、と糸部が案外あっさり同感してうんうんと頷いていた。






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