まほろば【現代編】

ii

おそらく気を失っていたのだろう、次に気が付いたときには酷い乗り物酔い状態になっていた。

だから、一瞬自分がどこにいるのかすら忘れていた。

「大丈夫?」

頭上からホムラの心配そうな声が聞こえる。

頭を振りながら、深い草の中で身体を起こすと、そこは先ほどと同じようだが明らかに違う場所だった。

まだ痛む頭を手で押さえながら立ち上がると、ゆるりと頭をめぐらしてみた。

背後にそびえる大木は先ほどよりいくぶん若々しく見えるほかは、特に変わったところはないが、その周囲を埋め尽くす草木は瑞々しい生命力で溢れていた。

「どうやら、無事に来れたみたいだな」

ホッと息を吐きながら呟いたが、その安堵を覆すような言葉が聞こえた。

「無事……ではないみたい」

声の主に目をやれば、困ったといったようなホムラの顔が目に入った。

「どういうことだ?」
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