まほろば【現代編】
でも、一つ確実なのは私と紗綾さん、二人ともがここに留まるのは得策ではないということだ。

もう一度横に視線を向ける。

紗綾さんは、すべての気力を使い果たしてしまったかのようにぐったりしている。

どう考えても、この場所は紗綾さんの精神衛生上よろしくない。

ということは……。

決断しなくてはいけない。

だけど、どうしても考えてしまう。

もしかしたらもう二度とみんなに、リュウに会えなくなってしまうんじゃないかって。

私が悩んでいるのがわかっているのだろう。

スサノオは何も言わずに、意地悪そうな笑みを浮かべたままこちらをじっと見ていた。

お願い、力を貸して! 

胸元の勾玉をもう一度ギュッと握り締めると、真っ直ぐにスサノオの瞳を見据えた。

「わかった。私が残るから、紗綾さんは返してあげて」
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