まほろば【現代編】
私が秘めている能力。

確かに、ちょっとした治癒能力のようなものが私にあることはリュウ達と一緒にいることで理解したけど、それほど強い能力が自分の中にあるとは思えない。

スサノオは何か思い違いをしているのではないだろうか?

疑問に思いつつ、スサノオのほうを見れば逆に不思議そうに見返された。

「他に何か聞きたいことはあるか?」

そりゃ、いっぱいあるけど、あまりに一度にいろいろなことを聞きすぎたせいで頭が混乱している。

そう告げれば、「では、寝るか。また今度答えてやる」とそのまま寝に入ってしまった。

本当にどうしてこの人はどこまでもマイペースなのだか。

そっとため息を漏らすとどうやらまだ寝ていなかったようで、スサノオは一度体を起こすとベッドに腰掛けていた私の頭に触れた。

髪の毛がパラパラと肩にかかる。

スサノオの手には、私の髪を締め付けていた髪飾りが握られていた。

そして再び横になると「ハルカ、お主ももう寝ろ」と眠いのか物憂げな声をかけてくる。

私はまたその言葉に抗うことが出来ずに崩れるようにスサノオの横に倒れるとそのまま眠りの淵に落ちてしまった。
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