まほろば【現代編】
【ラストサイド】

ハルカi

一睡もできないまま朝が来たらしい。

ゴゴゴゴゴという扉が開くことでそれを確認した。

カグヤさんが、例の如くワゴンに食事を乗せて入ってきた。

「おはようございます」

「おはよう」

私の挨拶の言葉に、カグヤさんは複雑そうな少し困ったような笑みを浮かべて応えた。

そして、そのまま今日は特に言葉を交わすことなく食事を行う。

それでも、私が食べている間、カグヤさんは側でじっと待っててくれる。

「ごちそうさまでした」

両手を合わせて一息つくと、それまで黙っていたカグヤさんが口を開いた。

「ねえ、ハルカさん」

「はい」

「今日、儀式を行うことは聞いてるよね?」

「……はい」
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