まほろば【現代編】
だからなのか、彼女の存在を疑いもなく受け入れることが出来ていた。

相変わらず神々しいまでの青白い光を纏ったハルカの姿を借りた彼女の表情は、とても穏やかだ。

彼女に任せればすべてうまくいく、そう思わせる何かがあった。

「どうすれば、いいんだ?」

『私が、彼らの苦痛を和らげるための結界を張ります。それが終わったら、あなたはその刀で――』

彼女に指差された刀から淡い光が溢れ出す。

『彼らの繋がりを断ち切ってください』

真人と土蜘蛛は密着するように繋がっている。

一歩間違えれば大惨事になりかねない。

「失敗したら?」

『その心配はありません。あなたは、ただ己の力を信じてその刀を振るいなさい』

その言葉が力となるように俺の中に入り込んでくると、先程スサノオと対峙したときに感じた、溢れるほどの力が再び沸いて来た。

「神懸り」とは、こういう状態のことを言うのかもしれない。
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