まほろば【現代編】
「そうか……」

いつも感じていた、ハルカに対する懐かしいと思う気持ちは俺の魂に刻まれたものだったのか。

そう思うと、何だかスッと腑に落ちるものがあった。

少し感慨にふけっていると、またツクヨミが口を開いた。

「今回は、大変お世話になりました。私は、一足先に自らの国に戻らせていただきます。そして、それ以後の妖に関しましては、私にお任せください」

「……あぁ。頼んだぞ」

「はい」

ツクヨミは、女性と見紛うようなたおやかな笑みを見せて、そのまま夜の闇に消えるようにスーッと消えていった。

そして、俺はもう一度空を見上げると深く息を吸い込みゆっくりと瞼を閉じた。
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