別れ道での約束
その時、電車がホームに入ってきた。


「乗ろう」


呆然としていた私の手首を掴んで、電車の中へと導いた。


端に2人座れるスペースがあった。


大智が先に座ったので、その横に座る。


「こうやって並んで座るのも夢だった」


恥ずかしいことをさらりと言う。


隣りに座る大智が近い。
電車が揺れると肩と肩が微かに触れ合う。


今まで何とも思っていなかった大智を意識したのはこの時だった。


躊躇いもしないで、ストレートにものを言う。


恥ずかしくなるけど、分かりやすいことが嬉しかった。
< 12 / 261 >

この作品をシェア

pagetop