別れ道での約束
そして、信号が変わった瞬間、私は追いつこうと走った。


しかし


私は動きを止めた。


1人の女の人が大智に腕を組んで、ぴたりと寄り添った。


大智はその人を優しい目で見て、耳元で何かを囁いていた。

そして、見つめ合って笑う。


私は再び動き出し、気付かれないように間隔を取り、ゆっくりと歩いた。


寄り添う人の顔を見ようと必死になりながら。


「あ…」


その人を私は知っていた。


何であの人の存在を今まで忘れていたのだろう。


警戒していたはずなのに。

油断してはいけなかったのに。

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