For 10 years
「職場の先輩だよ」



先輩か。


そうだよな、まだその位置にいるんだよな。



「それだけ?」


「それだけって?」


「またまたぁー、もったいぶらないでさ」



絢華ちゃんが困った顔をしているから、横から、俺の想いも一緒に口を挟んだ。



「それだけですよ、……今のところは」



これから、振り向かせる。



「キャー!今のところだって!絢ちゃん凄いじゃん!」



そんな俺の言葉に反応し、テンションがあがったのは、絢華ちゃんではなく隣の女性。


そんなとき、会場内に音楽が流れて……


年長のオープニングから夏祭りが始まった。


蒼太も優華もすっげぇ可愛く踊っていた。


親子で踊るときに、絢華ちゃんがやさしい笑顔で、蒼太と優華と一緒に踊っている姿を見て、俺も頬がゆるんだ。


あの笑顔が、一番好きなんだ。


踊り終えた絢華ちゃんが



「隼人さん、ありがとう。初めて親子のビデオと写真が撮れたよ」


「そうなんだ。毎年呼んでくれれば良かったのに」



もっと早くに気付いてやれれば良かった。
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