青空バスケ―3rd―

「……申し訳ありませんでした」


他の先生が二人のケンカを止めてくれ、なっちゃんも無事に親元に帰してくれて……あたしは教室の掃除をした。

……その後、対応がなってないと園長先生にこっぴどく叱られ……あたしは力なく職員室のイスに座った。


「栞奈先生……大丈夫?」


夏目先生が心配そうに声をかけてくれた。


「はい……。
すみません……ご迷惑をお掛けして……」

「ううん、それはいいんだけど……。
でも、大変だったね」

「栞奈ちゃん。
そんなに落ち込まないで。
誰だって失敗の一つや二つはあるものよ」


清水先生がそう言いながらあたしの前にコーヒーを置いてくれた。


「ありがとうございます……」


あたしは温かいコーヒーを一口飲んだ。


「あたしだってよく失敗したもの。
いい?栞奈ちゃん。
相手は物じゃない。子供なのよ。
何をするか誰にも分からない。
だから、学校で習ったようなマニュアル通りの対応でどうにかなるってものじゃないわ。
要は経験よ。
大丈夫。
次に何かあった時は、きっと今日より良い対応ができるはずだから」


清水先生はそう言って優しく微笑んだ。


「はい……ありがとうございます」


でも……あたしの心は晴れなかった。

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