タイムカプセル
そうして、私達は帰路についた。
親友とも別れた後、箱の中身を駅のゴミ箱に捨てる。

中には、親友の母の形見だという腕時計が入っていた。
小学生の頃、大切そうに持って来ていたその腕時計を私は隠した。

失くしたと言って泣く彼女を慰めながら、返すつもりは毛頭なかった。

初恋の同級生が、親友に恋していたのだ。
私にはそれが許せなかった。

今は、くたびれた社会人にしか見えない初恋の相手にも失望した。
作文もビリビリに破いて捨てた。

心がスッキリする。
災いは葬った。
私は、これからも親友と仲良くつきあっていく。

軽やかな足取りで帰っていく私の姿を、親友が愕然と見送っていた。

―おわり―
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