一番近くて、一番遠い二人





「さーとーやー、頭痛いっ」

そう言いつつも抵抗をしない。
したくないからね。

智也の体温を背中で
感じる。

これが出来るのは私だけ。
私のだけの特権。


「知らねー。俺を殴って
ほっていった罰だ」

「はあ!悪いのそっちじゃん!!」

智也は私の言葉を
無視してクラス表を見れば

「あ、今年芽依とクラス違うじゃん」

「そうだよ。うるさいのが
居なくてせいぜいするわ」

何で私ってこんな可愛くないんだろ・・

「えー・・、寂しいって思ってるの俺だけ?
芽依居ないと詰まんない」

そう言うと智也は私の肩に頭を乗せて
ぎゅうっと後ろから抱き締めてきた。

「なっ何してんのよ!変態野郎放せー」

「ヤダー」

「皆見てるしっ」

「俺芽依の匂い好き」

「変態離せっ」


流石に心臓が持たないから
肘で相手のみぞおちを狙うと

「お前凶暴過ぎる」

「沙羅こんな変態放っておいて
教室行こう?」

「うん、じゃーね白井くん」


教室に行く途中の廊下で

「芽依ー・・、あの態度どうにかならないの?」

「うぅ…、だって恥ずかしいんだもん」

「はあ…、たまには素直に
なりなよ?」

「はーい…」


素直に。か…

私はいつ智也にこの想いを
伝えられるんだろ..

告白したらこの関係が
壊れてしまいそうで..

私は弱虫だ…。

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