君に Ⅰ

私が走り終わるとささやき声が聞こえてくる。

「すごく速くね?あの子。」

「だって10秒台だろ?世界記録に近くね?」

「っていうか、あの子誰?ウチのクラス?」

「名前なんだー。知りてー。」

「すんげー可愛いだろ。ウチのクラスにあんなやついなかったと思うけど。」

「大体の人が特別可愛いってわけじゃないしなー。」

男子の声。次は女子の声が聞こえてくる。

「あの子、すごいねー。」

「誰だか知ってるー??」

「しらなーい。誰だろー??」

みんなこんな会話をしていた。

大体の人は。

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