たっぷりのカフェラテをあなたと
「……」

 私は抵抗する事なく、ほんの少しのミルクをカップに注いだ。
 湯気の立つカップの中に白いプツプツが浮かんできて、やがてそれはふわりと雲のように広がった。
 
 健吾さんは私の本心を全て見抜いてる。
 見透かされた心は隠しようがない……コーヒーカップを持ったまま私は黙った。
 すると、彼は思いがけない事を言った。

「頑張ってる絵里ちゃんは綺麗だと思うけど、時々は息を抜かないと」

 ハッと顔を上げると、そこには寂しそうに微笑む彼の顔があった。

「絵里ちゃんはずっと……ずっと、愛しい人の為に頑張って来たんでしょ?」

「……」

「好きな人を好きだと思う気持ちを否定する必要はないよ……でも、君が苦しんでるのを見るのは僕もつらいよ」

「健吾さん……」

「涙は罪じゃない、心を浄化してくれる魔法だよ」

 健吾さんの声があんまり優しくて。

 恋愛に疲れ果てた自分の心がホロホロと崩れてゆくのが分かった。
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