たっぷりのカフェラテをあなたと
 ホテルから出れば、まるで他人みたいな顔をする浩介。その姿を見て寂しい思いをするのにも慣れた。
 助手席に乗った私は、車の中でホテル代の半分を彼に渡す。

「悪いね、いっつも」

 この瞬間だけは彼は申し訳なさそうな表情をして私の出したお金を受け取る。

 ホテル代を出させる最低な男……として、友人の間で浩介は評判最悪状態だ。それでも私は浩介から離れられない。
 まるで麻薬の中毒患者にでもなってしまったかのように。毒なのが分かっているのに、それを摂取せずにはいられない。

「参るよ、おやじが糖尿でさ……病院代がバカにならない。それに車も妹がこすっちゃってさぁ、まったく金なんて出ていくばっかりだよ」
「そうなんだ、大変だね」

 言い訳めいた言葉がそらぞらしく車内に響く。
 できればこんな言い訳して欲しくない。さらっと割り勘を貫いて、ドライな顔でいてくれた方がいいのに。

「もう少し寒くなってきたら、温泉にでも行きたいなぁ」

 車を発進させ、浩介はいつものように『夢』を語り出す。この男の『夢』に付き合ったせいで、何度絶望を味わった事だろう。

「湯布院とかいいらしいよ」
「いいねぇ。でも俺も忙しいからなぁ……仕事の調整できればいいんだけど」

 このいつものパターンに、この時ばかりは笑いたくなった。浩介の嘘はボロが多すぎて、知らないふりをするこっちも大変なのだ。
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