Sales Contract
「勝也くんね…あなたのこと、すごく尊敬してるみたい。
いつも本当にありがとね」
無言になるのも気まずいので、あたしの方から口を開いた。
「いやいや、お礼なんて言われるほどのことはしてませんよ」
「きっとあの子にとって頼れる人って本当に数少ないだろうから…仲良くしてあげてね」
今なら母親ってものの気持ちがちょっとだけ分かる気がする。
「あこがれの千絵さんにそんな風に言ってるの、本人に聞かせてあげたいですね」
「どういう意味?」
「言葉の通りですよ」
そう言って彼は笑っていた。
…変なの。
何かつっかかったような気持ちのまま、駅に到着した。