Sales Contract


化粧を落として着替えても、指輪は着けたままにしておいた。

ベッドに入ってから少しすると、勝也くんが隣に潜り込む。


部屋は暗いけど、まっすぐ目を見つめてくるのがよくわかった。


「さっきも言ったけど、まだ今は関係性をはっきりさせたいとかって訳じゃないから。
ただ、俺がその時だなって思ったタイミングで言わせて。その時はその時の千絵さんの気持ちを正直に聞かせてもらってもいいかな」


急かして答えや形を求めないのが、彼の優しさだと思った。


「うん、ありがとう。
あたしが嫌なこととか、不安なこととか本当によくわかってるよね」


「まあね、千絵さんが思ってる以上に俺、千絵さんのことよく見てるから」


「ありがと」


言葉以上の気持ちを込めてキスをした。
ここでこれ以上の行為をするのは違うと思い、軽く触れるだけのキス。

彼も同感らしく、何も言わずに腕を貸してくれた。


「あ〜今日は今までで一番幸せなイブだったかも。こんな風に過ごせてよかった。
おやすみ」

可愛いおやすみに返事をして、目を瞑るとすぐに心地よい眠りに落ちていった。


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