17-甘い君たち-
Story2. 想いの加速度
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目が覚めると、真っ白い天井が見えた。曖昧な思考の中、ここが自分の部屋だってことを理解して、ガバッと起き上がる。
「なんで……」
制服のまま寝かされていた私。
ズキッと痛んだ頭に手をやって、必死に思い出す。
翔太が安藤くんをもう一回殴ろうとした手を止めた、私の手。
だって、怖かった。鋭く、光がないような翔太の目。殺しちゃうんじゃないかって思うほど、鋭くて、怖かった。
それに、多分翔太は、殴ったあと自分が傷つく。絶対に。だってすごく、優しい人だから。
でも、翔太は私の手を振り払った。
『どうしてあいつを庇うの?』
……庇ったわけじゃない。
翔太に傷ついてほしくなかった。
それに、安藤くんが言ったこと、間違ってない。翔太や尋以外の男のひとに抱きしめらているところなんて、絶対に見られたくなかった。
何故なのか、わからないけど。涙が出た。離れていってしまうかもしれない、と。壊れてしまうかもしれない、と。自分から離れようとしておいて、なんて自分勝手な奴なんどろうと自分でも思うほど。
翔太はまっすぐ安藤くんの元へと歩いて行った。そして、もう一度鈍い音を聞いた時、私の意識は途絶えた。