河の流れは絶えず~和泉編~
「で、君はなんて言ったの?」そう言って、彼女の顔色を見てみる。

「即答はしませんでした。あたしと噂とどちらを信じるのかを問うて、兄は話せるときになったら話せと言っていました。」

俯きながら話をしていた顔を上げて、俺を見る。

ふ~ん。

その話を聞いてしばらく宙を見つめ、思案を巡らす。

まあ、でも、林太郎に関してはきちんと話さえすれば何か起こるということもあるまい。

だから、

「夏葉ちゃん、またあいつに聞かれたら、ありのままを話していいよ。何も俺たちは悪いことなんかしてないんだし。機会があれば、俺からも林太郎に話しておくから。」

と彼女の目を見ながら安心させるために言った。
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