河の流れは絶えず~和泉編~
彼女の顔も何となく見れなくて、障子を開け、外を見た。

気持ちの良い風が頬をかすめる。

「ほら、ここからは裏庭が見えるようになっている。見てごらんよ。」

そう彼女を招いた。

彼女は傍にやって来、一緒に外を見下ろした。

「夏らしくていいですね。」

と言う彼女と顔を見合わせた。

やっぱり笑顔のかわいいこだ。

なんだか胸の奥がむずがゆくなる。
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