河の流れは絶えず~和泉編~
「あたしのほんとの父は今の父と兄弟なんです。兄が生まれて3年後にあたしが生まれました。あたしを産んだ母親という人は、産後の肥立ちが悪くてそれ以後寝たり起きたりであたしを3つになるまで育ててくれました。でも」

笑顔で俺を見たがひどく淋しそうな笑顔だ。

「とうとう、何かの病気に掛かってあっけなく亡くなってしまった。その後、私の父親という人は後添えを娶ることを決めたんだそうです。」

一呼吸置いて彼女はそのまま続ける。

「まだ若かったということもあるし、あちらの家が沢家の本家であるため、周りがやもめを許さなかったというのもあったらしいです。そして、娶った人には前夫との間に子供があって、自分が入る代わりにあたしを他家へ養女に出すことを結婚の条件としたのです。」

言い終わった彼女の顔はひどく真面目だ。

本当なのか?
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