河の流れは絶えず~和泉編~
「でも、兄は父との話で佐脇はよくできたやつだ、と言っていました。父もお前の友達にしてはできてる男だ、というようなことを話していましたよ?私はあの時、内容がよくわからなかったので、聞き流していましたけど、そうか、あれは佐脇さんのこと話していたのね。」

なにか一人で納得しているようだ。

「それは、恐縮ですね。」

しばらく会話が途切れた。

けれども、今ここでこうして話をしてみて、なにか別の糸のようなもので繋がりだした、そんな感じが二人にはあった。

遠くで見ているだけの人が急に身近な人になってしまって俺は戸惑った。

「あたしも、自分が不幸だとかそんなことは一度も感じたことはないんです。多分、端から見ればかわいそうなんだろうけれど、あたしは確かに家族の愛情を受けて育っているという確信があるから。、、、でも、あたしたちやっぱり似ているのかしら?」

ああ、似ている、、、。

そういうことなのか。
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