河の流れは絶えず~和泉編~
其の六 思わぬ伏兵

ひとつ

彼女を先に見送って後姿をずっと見ていると、その横でおばさんが、

「いい子だろ?ああ見えていろいろ苦労している子でさ。」

「うん。」

そう頷くと、おばさんは、

「え、あんた知っているのかえ?」

と俺を覗き込んだ。

おばさんは驚いているらしく、

「あの子が浩さん、あんたに言ったのかい?」

「うん、、、。なんとなくお互いの話をしているうちにしてくれたよ。」

と中に入りながら答えた。

おばさんはへえ、と言いながら俺の後に続いて中に入ると、

「まあ、ちょっとむこうへ掛けて話さないかい?」

と奥の席に目を向けて促した。
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